樹脂作品について 金魚酒誕生秘話
僕を代表する作風となった樹脂作品。「金魚酒」はかなり定番になりました。
でもその描き方の誕生は偶然の発見でした。
金魚救いから2年程経ち、平面絵画以外の何か新しい表現はないか
毎日考えていました。ある時、透明樹脂の中に金魚がいたら
綺麗かなと思い、透明フィルムに金魚をプリントして、切り抜いたものを
樹脂に中に固めた作品を発表しました。
しかし、それでは、フィルムが透明でも切り口が見えるし、なんだか
お土産品みたいになっていました。完成度に不満がありました。
そしてある日、いつものように樹脂を使って作業していたら、少しだけ
樹脂が余ったんです。
もったいないから空いていた型に流し込んでおきました。
ちょうど型の半分しか樹脂が入りませんでした。
次の日、固まったそれを見て、「絵具でかけるかなぁ」と思い、その表面に
絵具で金魚を描いてみました。
多分失敗だろうと、期待せず、樹脂を上から流し込んでみました。
明日には絵具は樹脂で溶けてしまうだろうと思っていました・・・・
次の日、型から取り出されたそれは、僕の次なる表現の可能性を持った、
何とも言えない美しい金魚が泳ぐ、完成度の高い作品でした。
「これだ!」 その日から、樹脂絵画の実験をくりかえしました。
そして、その技術を発展させ、「金魚酒」が誕生しました。
翌年、ターナー色彩株式会社主催のコンペティションで賞をいただきました。
「金魚酒 : 和金 2003」 ※画像転用禁止
「金魚酒 : 出目金 2003」 ※画像転用禁止
この頃、まだ名古屋に住んでいて、東京で僕の作品を発表できたことは、
本当に嬉しかったのを記憶しています。
僕のこの技術は、当時、世界で誰もやっていなかったと思います。
もし、類似品や真似されたとしても、僕がオリジナルだとわかるよう、
日々の鍛錬がこれからも必要だと思います。
(でも実は化学薬品系は昔から大嫌いなんですが・・・)
深堀隆介
オフィシャルHP 「金魚養画場」